2019年3月8日(金曜日)に「いきがい就労推進セミナー」を開催しました!! ≪セミナーの概要≫
熊本県及び熊本県生涯現役促進地域連携協議会では、東京大学先端科学技術研究センターと共催により、人生100年時代の新しい生き方、働き方を考え、そして「GBER熊本版」導入のキックオフとするため、東京大学先端科学技術研究センターの博士(工学)でGBER開発者の檜山敦氏を講師に迎え、「いきがい就労推進セミナー」を開催しました。
当日は定員(100名)を越える参加者のもと、第1部の記念講演では、檜山敦氏に、「超高齢社会2.0~ICT×シニア=明るい未来」をテーマに講演いただきました。第2部のトークセッションでは、鬼塚えりこさんをMCに、檜山敦氏に加えて、公益社団法人熊本県シルバー人材センター連合会 西島喜義会長、一般社団法人夢ネットはちどり 堤弘雄代表理事にも参加いただき、超高齢社会の課題、GBERに寄せる期待などについて語っていただきました。
[主催者あいさつ]
第1部 特別講演
テーマ:「超高齢社会2.0~ICT×シニア=明るい未来」
講師:東京大学先端科学技術研究センター 博士(工学) 檜山 敦 氏
[講演:GBER熊本版の紹介]
・超高齢社会の時代は、リタイアしたが健康という時間が長く、この期間を支えていく新しい技術が必要。
・少数の若者層で支えるという発想ではなく、ICTでシニア層の活力を支援するイノベーションを実現し、高齢者が若者を支える新たな社会モデルを構築していく。
・アクティブシニアからスマートシニアへ。プログラマーなどで活躍する若宮正子さん(82)や、新老人の会でのSNSの立上げなどで活躍する牧壮さん(82)などは代表的な方々。
・高齢者の強み(専門的知識、経験、俯瞰的にみる)を活かしつつ、時間的・空間的制約や経験・能力の不均一、就労ニーズの多様性などを踏まえ、高齢者の新しい就労形態を可能にする「モザイク型就労」を進めていく必要がある。
・この「モザイク型就労」を実現するために開発したのが、GBER(Gathering Brisk Elderly in the Region:地域の元気高齢者を集める)で、時間モザイク(カレンダーUI)、空間モザイク(マップUI)、スキルモザイク(Q&Aカード)で、人材ニーズとシニアのマッチングを行うことが簡易な操作で可能となった。
・「GBER熊本版」の開発も、くまモンのデザインで進んでいる。
・GBERの全国展開に向けては、使い方を丁寧に教えていくことが必要であり、スマートシニアに期待している。「GBER熊本版」を展開していくに際しても、熊本のシニア情報アドバイザーに大いに期待している。
・また、GBERは災害に強いコミュニティづくりのプラットホームとしても活用することが可能。例えば、自由に動くことのできない高齢者や障がい者のためのVR(バァーチャル・リアリティ)旅行などの応用が可能である。
・人の仕事を奪うAIではなく、人と仕事、そして社会を結びつけるAIであることが大事。
・社会は、人の営みであり、皆さんが思い描いたことが形になる。すでにある社会で役割を演じるのではなく、幸せになれる社会を自ら描いて、実践していくことが大事。
第2部 トークセッション
M C:鬼塚えりこ 氏
パネリスト:東京大学先端科学技術研究センター 博士(工学) 檜山敦 氏
公益社団法人 熊本県シルバー人材センター連合会 会長 西島喜義 氏
一般社団法人 夢ネットはちどり 代表理事 堤弘雄 氏
[トークセッション]
〇公益社団法人 熊本県シルバー人材センター連合会 会長 西島 喜義 氏
・シルバーは県内で1万人弱の会員、約45億円の仕事をしている。請負がほとんどで、派遣は全体の1割程度だが、今、大きく伸びている。これから、高齢者就労は競争の時代になる。
・現在、会員は高齢化してきている一方、定年退職した人たちの確保が難しい、といった現状がある。シルバーのイメージチェンジを図り、楽しく魅力あるシルバーにしたい。
・会員名簿はデジタル化しているが、マッチングは職員が相当の時間をかけ、手作業でやっている。モザイク就労を推進するGBERをシルバーでも活用できるのではないかと期待する。ICTが進んでも、面談、相談などの人が関わる部分は残る。
・高齢者就労の一方の当事者である事業主も一人の人をフルタイムで雇用するという認識から抜け出せていない。事業主のモザイク就労に対する理解が欠かせない。
〇一般社団法人 夢ネットはちどり 代表理事 堤弘雄 氏
・165名のハチドリワーカー(経験やスキル(趣味や技術)の登録後、研修を受け、ワーカーとして働く60才~74才までの元気な高齢者のこと。)がいて、生活支援から身元証明まで年2000件の相談を受けている。ワーカーはコミュニケーション能力も高く、責任感も強い。フルタイムで働く人は少なく、まだまだ遊びたい、旅行したいなどさまざまな希望がある。高齢者就労については、多様な働き方を受け入れるシステムでないといけない。
・現場では人手不足の現実があり、介護、農業の分野は顕著。今の熊本を誰が支えるのか、若い人たちがぎりぎりの状態、アクティブシニアがその役割を担うことになる。
〇東京大学先端科学技術研究センター 博士(工学) 檜山敦 氏
・超高齢社会には高齢者の社会参加がどうしても必要。そのためのツールとしてのGBERがある。GBER熊本版の普及は、熊本から新しい社会モデルを作ることになる。この新しい社会づくりを熊本から日本へ、世界へ発信していきたい。
〇MCタレント 鬼塚えりこ 氏
・本当に今日は未知の分野であったため、最初はどうなるものかと不安いっぱいであったが、なるほどと納得のいくものばかりだった。
・シルバー人材センターなどの関係機関が、高齢者の就労のために活動されていることはあまり知られていない。今後、HP(ホームページ)の開設なども含め、更に広報に努めていただければと思う。
・今は、父親や母親を見ている立場にあるが、皆さんや、輝いている先輩の方々を見ることができれば、自分たちも将来、希望を
持って笑顔でいることができるんだ、と思える。ぜひ、GBERを活用して盛り上げていただきたい。